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一見、地味な顔立ちのその男の子は、無造作に跳ねている こってりとした短い黒髪に、額縁眼鏡をしている。
背丈は美雨よりは高いが、通りすぎていく他の生徒と比べれば低いほう。制服は硬い感じにピシッと着ている。
そんな彼は、
「あら、そのストラップ。付けてくれてたのね。嬉しいわ」
と美雨が言うと、
「ここここれ?うっうううん。一ヶ月記念なのに…ぼぼ僕、女の子からプレゼントなんて貰うの初めてで…」
「交際しているなら、こういうのは当前よ」
おどおどした様子で言う太郎に、美雨は威勢よく言った。
そう、この太郎という男の子は、美雨の『彼氏』なのだ。
二人は並んで校舎まで歩き、クラスは異なるので、廊下で別れた。
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