雫三滴:水神あらわる

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「それとも何か他にお目当てがあるのかしら!?こ、ここは一体どこな―…」 「うっせ~人質だなぁオイ」 「ひっ、人質!?」 レオに口を塞がれたのは、これで二度目。 レオは片足を床に膝間付き、その右手を美雨に当てたまま、左手で自分の口に指を当てた。 そんな彼の手が大きいのか、美雨の顔が小さいのか、美雨の顔面の目から下の殆どが覆(おお)われてしまっている。 美雨は、その仕草(しぐさ)が「静かにしろ」という命令なのだと分かったが、そんな余裕は無い。 そして何かで頭をゴンと打ち、すぐ背後に壁があることを悟(さと)った。 美雨の回りを囲んでいるこの『バリヤー』は、ただの水がある空間と水のない空間との境目な訳だが、レオはそのバリヤーを無視してズイッと美雨に近寄って来た。 「私が、人質―…?」 「違う、違う。人質では ないから心配はいらない。私は人間にそのような事をするつもりはない。それと…マサ、説明は私がするから、お前は黙っておけ」 「ちぇっ」とマサが舌打ちした。 パニック状態の美雨は、身体を震わせながらも周囲を見渡そうと、やっと顔を上げてみ た。 しかし、頭の中がパニックになっている今の彼女にとっては、「目の前で、ただ穏やかに笑っている二十代くらい(多分)のヤケに髪が長くて色も変な男の人(多分)っぽい顔」という風にしか、理解する事が出来ない。 美雨にはレオがニコニコしているのが返って怖いらしい。 「驚かせてしまってすまない。只、私には時間がないんだ。だから私の質問にだけ答えてくれ。そうすれば直ぐに帰れる。 君はあの部屋の住人で、間違い無いんだな?」
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