彼女の涙ー1

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エレベーターで八階に上がり自宅に招き入れる間、哀れなほど彼女は緊張していた。 先に洗面所に案内して少し一人にしてやると、僕はまず食事の注文を済ませた。 滅多にやって来ないが、たまに両親や弟夫婦が来る時は寿司を取ることが多い。 しかし彼女の疲れた顔を見て、今回はもっとボリュームのある別のものに変えた。 コーヒーが入った頃、彼女がおずおずとリビングにやってきた。 「もうすぐ料理が届きます。希望がありましたか?適当に注文してしまいましたが」 「いえ!何でも食べます」 うん、まあそうだろうて。 一応聞いただけで、見るからに何でも食べそうなタイプだ。
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