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それはさておき、彼女を見ていると、これまで企画の仕事と真剣に格闘してきたことがうかがえた。
「傍からは単純に見えても、企画の仕事の裏には膨大なデータと試行錯誤がありますね」
変態ではなく仕事モードの僕が彼女のこれまでを労った。
人事の仕事をしていても僕自身がすべての職種を経験したわけではないので、机上の空論だと自重することがあるが、企画に対してはある程度の理解があった。
そのきっかけは香子の存在だ。
下積みを経て、悩み苦しみヒット商品を生み出すまでの香子の数年間を僕は隣で見てきた。
香子のひたむきさが好きだった。
男としての感情は過去にけじめをつけてしまったけれど、香子に抱く敬意は今も変わらない。
迷子に香子との共通点を見いだすなら、女であることに依存しないことだろうか。
“お……っ、男の人は誰も私のこと好きになってくれましぇんっ”
いやいや。
突如バーでの独白が甦って吹き出しそうになった。
迷子の場合は女であることに敢えて依存しないのではなく、そうならざるを得なかっただけらしい。
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