彼女の涙ー1

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翌週、江藤奈都との仕切り直しである火曜日を迎えた僕は、昼までの予定で彼女の会社に出向いていた。 なぜ彼女に対してはガードが緩くなるのかという疑問は、彼女が嘘や計算が苦手な、棘を持たないタイプの女だからだと、僕の中で結論づけていた。 いまだかつて会ったこともないぐらいの平凡さが珍しかっただけで、そもそも彼女の方が僕を遠ざけたがっているぐらいだから安全な存在だと。 そう納得すると、彼女のことは頭の中から片付けてしまった。 「来週には新組織の第一案をご提案できると思います」 「わかりました。幹部のスケジュール調整をしておきます」 「日時が決まりましたらご連絡下さい。では」 昼休憩に少し食い込んだ頃、担当者に挨拶を終えた僕は次のクライアント先に向かうため人事部を出ようとしていた。
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