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しかしながら企画の話をするために寝室に来たわけでないことはお互いにわかっている。
「そうなんです。ほとんどが途中消滅するものばかりで」
彼女の返答に僕が頷くだけにとどめると会話は途切れ、二人が立つ寝室に沈黙が落ちた。
途端に彼女の視線が泳ぎ始め、一度ひいた赤みが再び頬にさしてきた。
ベッドを避けようと思うと余計に見てしまうらしい。
沈黙を守り、面白く観察する。
何が気になるのか、しばらくチラチラと僕の枕を見ていた彼女は突然僕に向き直り、上ずった声で企画の話を再開した。
「あと、実際にユーザーに体験してもらって、得られたヒントをフィードバックしたりの作業もあります!」
“実際に体験”
僕を誘う気などさらさらないくせに。
それが余計に僕のSっ気を煽る。
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