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何でも決めた通りにやってきた。
僕は予定を狂わされるのが嫌いだ。
無防備にすやすやと寝息を立てる彼女を改めて眺める。
鼻が詰まっているせいで、彼女の口はポカンと開いていた。
ほれ見ろ。
こんなにだらしなく口を開けて眠りこける平凡女が特別なはずないじゃないか。
「起きて下さい」
目の前のこれはただの庇護対象で、僕にとって女ではない。
「起きて下さい」
なのに触れたくなる自分が腹立たしい。
方程式を狂わされている自分が不甲斐ない。
そして、好きでもない男の部屋で無防備に眠りこける彼女に腹が立つ。
あまりに起きる気配がないので、彼女の肩を揺すった僕はうっかり忘れていた。
彼女が予測外の動きをすることを。
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