彼女の涙-2

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*** 僕が注文したのは、鰻のひつまぶし膳だった。 専門店だけあって味は申し分なく、薬味が数種類に茶漬用の出汁が添えられていて、味のバリエーションが楽しめる。 女性向けに野菜の小鉢も添えられた、見た目にも繊細で華やかなものだ。 彼女は料理を見るなり目を輝かせた。 先ほどまで不貞腐れていた頬が、素直に喜びを表してほころぶ。 「いただきます」 彼女は丁寧に両手を合わせると、いそいそとお椀の蓋を取った。 人それぞれの考え方があると思うが、僕は食事に関して遠慮のない女性が好きだ。 食事でも会話でも目の前の男を意識してアピールを送り続ける女性を見ていると、まるでベッドにいるようで食欲が減退する。 マナーさえきちんとしていれば、基本的な部分は飾り気がない方がいい。
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