彼女の涙-2

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「……手を離してもらえますか」 「うわっ……すみません!」 僕の言葉で彼女はようやく自分が大嫌いな男の腕を抱き締めていることに気づき、拒絶反応もろ出しで両手を放しソファーに張り付いた。 えらいもんに触ってしまったと、そんな感じだ。 「僕の前で、あなたは寝ているか泣いているかのどちらかですね」 なぜ嫌いな男の前で無防備な姿をさらす? 好きな男に抱かれたかったと泣くぐらいなら、きちんと自分を守れよ、と。 いまさらに怯えた目で僕を見上げる彼女に苛立ちが募った。 彼女の腕はバンザイしたままで、僕が悪い男なら簡単に身体の自由を奪えそうだった。 なら、そうしてあげようじゃないか。
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