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一話完結
冷たい風が頬を叩く寒い一日だった。
僕は薄っぺらい鞄を右肩に担ぎ両手をポケットに突っ込むと、校門を一人で出た。
今日は卒業式を控えた最後の登校日だった。
憧れだけでは人生を描けないことを知った三年間だった。
皆人生をはっきりとした形で模索しようとし始めている。
今も国公立の入試を控えて猛勉強の最中だった。
だから今日はクラスでも半分程度の出席だった。
「どうせお前は推薦で入ったんだからいいよな」
会う度皆に言われた。
僕は地元の大学に進学することが去年のうちに決まっていた。
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