モテ感染

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「お前、昨日これ落としていっただろ」 カバンにつけてたピンクの丸いキャラクター。かわいかったから衝動的に買ったやつ。なんのキャラクターすらよく分かってない。 「わざわざ持ってきてくれたの?」 「大切なものかもしれないと思って」 そっか。やっぱりとおるくんは昔のまま。優しいままなんだ。 「お前さ。気付いていただろ。オレの不思議な力に」 「えっ?」 「もし気が付いてたなら、大切な事忘れてるぞ」 大切な事? 「キスするとモテる力は移る。そして移した方はモテなくなる」 うそっ?ってことは志保に移ってるってこと!? 「でも、私…、幼稚園の頃の力なくなったよ」 「だからそれを忘れてるんだよ。幼稚園の時、モテてたお前は…」 「何よ?」 「とおるくんだけでいいって、2回目のキスをしたんだ」 少し照れたとおるくんは子供の頃のとおるくんのままだった。そっか。完全に忘れていた。 「ずっと、待ってたんだけどな。誰からの誘いも断り続けて。志保もお前と仲がいいって言うからお前の話を聞いてたんだ。けどそのうち、その…」 「いいよ。忘れてあげる」 モテ過ぎるってのも大変なんだね。だけどもうお互いモテる必要はないみたい。
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