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グラウンドから学校中に大きな黄色い声援が広がった。
ゴールを決めた中村先輩が腕を上げグラウンドを駆け抜ける。風のように軽やかで、さらさらの髪がなびく。
今日はサッカー部の練習試合。グラウンドの周りには多くのギャラリーが集まっている。ほとんどは女子で、目的はキャプテンでエースの中村先輩。
はぁ~。思わずため息が出ちゃった。中村先輩ってやっぱり素敵。輝いて見える。振り向いてほしい。
だけど、だけど、私もこの取り巻きの一人にしか過ぎないんだ。特別な存在になりたいな。
中村先輩は、サッカー部のマネージャーの浅野先輩と付き合ってるっていう噂もある。あくまでも噂で本人は否定してるとか。本当の所はどうか分からない。でも浅野先輩は、スタイルがよくて大人っぽくて美人で、敵いっこない。
もし付き合っていたとしても。それでもいい。少しでも振り向いてくれれば。せめて私のことを知ってほしい。先輩は3年生。もうすぐ卒業してしまう。卒業するまでになんとかしたい。
どうしたら知ってもらえるの?どうしたら振り向いてもらえるの?どうすればいいのか真剣に考えてみる。
その時だった。
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