1話 夢色ラビリンス

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再び声がすると、霧の中から先程の少年が現れた。 駆け寄ってくる少年を、私は……勿論、彼女も知っている。 当たり前だ。 少年は……、彼は…… 驚きと動揺で、彼女は固まったまま動けないでいる。 代わりに喋ろうにも、何かに縛られているように声が出ない。 「っ、あ……」 小さい私は言葉を詰まらせた。 少なくとも出会えた嬉しさが爆発しそうなのは、赤面具合から容易に察することができる。 すると、少年がニッコリと微笑んだ。 ドクン!! 胸の奥で大きく心臓が弾けた。 胸の奥で燻っている何かが、必死にもがいているのを感じ、小学生の私は何かを決意した。 “そうだ!!今言わなきゃ!!絶対後悔する!!” 彼女の心の声が、頭の中に流れ込んできた。 拳をぎゅっと握りしめる。 バクバクと高鳴る鼓動を押さえつけるかのように、深く1度呼吸をした。 そして、勇気を振り絞って、口を開く小さい私。 「……あっ、あのっ!!私、あなたのことが好きなんです!!ずっと、前から……私の初恋の人なんです!!」 その言葉を聞いた少年は、何の反応も示さない。 何事もなかったかのように笑いかけると、少年は手を大きく振って続けた。 「また明日、学校でなーっ!!」 小さい私の声は、少年には届いていないようだ。     
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