冬樹と夏樹

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何故だか夢を見ているのだという妙な確信がある。 気が付いたら子供部屋らしき場所にひとり、立っていた。 他に人の気配はない。 暑い真夏の日差しが窓越しに照りつけている。 窓は網戸になっていたが、外から流れてくる風は生温かく、絶え間なく蝉の声が鳴り響いていて余計に暑苦しさを増していた。 ここは… 自分はこの場所をよく知っていた。 部屋には、二段式のベッドが置かれており、窓際には同じ机が二つ並んでいる。 よく見るとタンス、本棚等、その他の家具類全て同じものが面白い程に二つずつ揃えられている。 パッと見たところで、あえて違いを述べるならば、机の横に置かれているランドセルの色が赤と黒だというところか…。 懐かしい。そうだ。ここは… 遠い日の記憶が蘇る。 忘れたくても忘れることなど出来る筈もない…大切な思い出の場所。 昔、自分が大切な家族と暮らしていた家。 大好きな兄と自分…二人の部屋。
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