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収まりの悪さはともかく、とりあえず迷子の仇をうってやらねば。
けれど僕が口を開くより先に、隣でおとなしくしていた迷子が反撃した。
「東条主任がいるじゃないですか」
「彼、仕事でいつも忙しいから、一人で挑戦してみようかなって」
堀内嬢は質問者の迷子ではなく、僕を見つめて答えた。
誘うきっかけを僕に提供してくれたらしい。
すると、苦笑しながらビールを飲んでいた東条が親しげな笑みを浮かべ、迷子に話しかけた。
「僕たちの仕事はオンオフの区切りがないから仕方ないよね?江藤さん」
言葉の端々にちりばめられた“僕たち親密”アピールに僕の眉が反応した。
これはまさかの瓢箪から駒か?
東条の気を引けると持ちかけて迷子を釣ったが、成就の可能性は如何なものかと正直思っていた。
しかし東条は迷子をかなり気に入っているらしい。
そうするとまた胸の底をかき回されたような気分になった。
例えるなら、これは市場で子牛を売りに出した牧場主の気分だろうか。
迷子に高値はつかないと分かっているのに、僕はこのカップリングに納得したくないのだ。
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