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頭の中が欲望で染まり、渦を巻き始める。
早く止めてくれ。
でないと──
しかし彼女は泣いてくれず、抵抗もしない。
それどころか僕の肩にかけられたまま抵抗を止めていた手が首に巻き付いてきた。
その時、ようやく僕は限界を察知して身を引き剥がした。
僕の首から彼女の両腕が外れて落ち、ソファーのレザーがパタリと音を立てた。
「……思い出しましたか?」
冷静でありたいのに、僕の息は少し乱れていた。
彼女も息を乱し呆然と僕を見上げていたが、やがて小さく頷いた。
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