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好きではない男に不覚にも二度も乱された今の彼女の心中は、自己嫌悪でいっぱいに違いない。
しかし僕が身体を起こそうとすると、彼女は僕の袖を掴んで引き留めた。
「……」
その小さな手のわずかな力は、僕に大きな威力を振るった。
女の上に男が跨がった危険な状態で見つめ合う。
なぜ僕を誘う?
“経験値を上げたかった”
その時、バーでぶちまけられた彼女のコンプレックスから、一つの言葉が思い出された。
東条にアプローチするには、女の魅力が足りないというのだろう。
人並みのテクニックを身に付けたいと。
見知らぬ男に声をかけた切迫ぶりからして、彼女は苦手な男にもすがりたいほど切実なのだろう。
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