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じっと僕を見つめる彼女の唇が、僕を誘い込むように開いた。
「はい……」
いつもはオドオドと僕から逃げてばかりの目が、まるで今すぐ奪ってと言わんばかりの貪欲な決意を込めて、僕に迫ってくる。
東条とのチャンスを目の前にして、どうしてもスキルを上げたい。
それほどに賭けているのだろう。
しかし僕は自信を持てなかった。
心の伴わないセックスに、彼女が耐えられるのか。
口で言うのと実際にそうなるのとはまったく重みが違う。
彼女は分かっていないのだ。
彼女を跨いでいた脚を外し、床に下ろして立ち上がった。
背中に感じる彼女は横たわったままで、まだ完全に欲望を断ちきれずにいる僕に無言の揺さぶりをかけてくる。
抱くか、抱かないか。
選択の余地なんてないじゃないか。
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