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一方、彼女の露骨な色目にも東条はさきほどのように失笑を表情に出さず、会話の成り行きを静かに見守っている。
彼にとって堀内嬢は惜しい存在ではなく、むしろロックオンされた僕が新たな被害者にならないか注視しているのではないだろうか。
「あの、失礼かもしれませんけど、皆川さんってもしかして……」
堀内嬢はそこで言葉を切ると小首を傾げ、僕をじっと見つめた。
この媚、この自信。
ヘドが出そうな本音は隠して僕も彼女の表情に視線を奪われたように見つめ返すと、彼女は満を持して続きの台詞を披露した。
「私、受付をしているので毎日多くの方と接するんですが、うちの社でお見かけした気がします」
一般には、受付嬢という職業は男受けが良く、彼女もそれを十分に意識している。
でも僕は受付嬢だからといって評価を上げたり下げたりしない。
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