1人が本棚に入れています
本棚に追加
素直になることが出来ない。表面上を取り繕った俺を、沙代に曝け出している。それが積み重なっていく日々。俺の心の隙間は満たされることはない。
沙代はバスケットボールをしているだけあって、とても視力が良かった。これが視力検査であるならば、どんなに楽だっただろうか。俺の心に出来た隙間を沙代が見抜いてくれたら、どんなに楽だろうか。
生徒と先生という世間体を気にして、好きなことを好きだと伝えられない事がこんなにも苦しいなんて思わなかった。
本当の自分を隠し、沙代が俺の目の届かないところで楽しそうに過ごしている話を聞く度、胸が締め付けられた。
本当は、部活のレギュラーを勝ち取った話を聞いたときは次の試合で応援に駆けつけたかったし、テストで赤点ギリギリだと聞かされたときは、勉強を教えてやりたかった。だけど、どうしても立場からか抑止力が働いて、そんなことすら言い出せない自分がもどかしかった。
最初のコメントを投稿しよう!