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キャパオバ~ over capacity ~
俺の彼女は可愛い。
どのくらい可愛いかというと、自他共に認める面食いの俺が一目惚れして2ヶ月間ストーキングしたくらい可愛い。
守って上げたくなるタイプ、それが沙織(さおり)だ。
「ごめん! 俺が悪かった! だから一旦落ち着こう!」
ここは、俺の部屋。
今まさにカカト落としを繰り出そうとしている沙織に冷や汗を垂らしながら許しを乞うている情けない男が俺。
だが、沙織は俺の言葉に聞く耳も持たずその美しい右足を振り下ろした。
瞳は完全に虚ろで、何も映していないように見える。
ドス……!
間一髪で交わした俺の肩を掠って、沙織の踵は今まで俺が座っていたソファへと突き刺さった。
ここで、安心していると次に左足を軸にして沙織の身体は反転し、そのまま回し蹴りを繰り出す。
ヒュッ……! 今度は壁に背をピッタリとつけた俺の鼻先を沙織のつま先が音を立てて通り過ぎた。
あと数ミリ鼻が高ければ確実に顔面崩壊していただろう。
「ギブ! 本当にもう何にもしないから! お願いだから落ち着いて……!」
今度は俺の言葉が届いたのか、膝蹴りの体制のまま沙織の動きが止まった。
「……ホントに?」
「本当! 神に誓って!」
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