キャパオバ~ over capacity ~

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「嘉人(よしと)くんが怖いわけじゃないの……でも触れられるとこう……気持ちの奥の方がザワザワしてきちゃって……成敗しなきゃ! って気持ちになっちゃうの」 「ハハ……」  俯き、肩を震わせながら「ごめんね」と呟く沙織を許さない理由があるだろうか。 「つーらーいー!!」  会社帰り、大学時代からの友人の棚橋と居酒屋にて。 「そりゃツライな。俺達25歳の健全な男子だもんな」  棚橋は俺の肩を叩くと哀れみの目をしてそう言った。 「棚橋……俺はどうしたらいいんだ」 「知るか。時間かけて信頼得るしかないんじゃねーの?」  棚橋は他人事のようにイカの一夜干しを美味そうに食べている。 「時間……って何ヶ月? 何年? 無理! 無理無理無理!」 「だったら別れたら?」 「はぁ!? そんなのもっと無理!」 「あーっそ。面食いのお前のどストライクだもんなー」 「そうなんだよー……って顔だけじゃないぞ? 性格も大好きなんだ。ただ触れると豹変して狂暴になるってこと以外は……」  そう、それさえ無ければ何も言うことはない。 「そこ、1番厄介じゃね?」 「聖人君子になるしか……」  棚橋は苦笑するとスマホを俺に渡してきた。 「ん?」  画面にはプラネタリウムのような星空が映っていた。 「そこ、都内から車で3時間くらい走った場所にある丘から見た空なんだけどさ」     
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