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しかし、一体どこがいいのかと思っていた新倉だが、実はとてもいい男だった。今までちゃんと見たことがないから、知らないだけだった。
地味だけど、真面目だった。目立ってはないけど、頭はよかった。サッカーでシュートを決めるタイプじゃないけど、的確なところにパスができる。
「私、新倉くんのこと誤解してた。結構面白いね」
話をすれば下手な女子より中身のある会話で盛り上がれる。
「そう? ありがとう」
ちょっと照れたように笑う顔が可愛い。
そう思った瞬間、優しくて温かくて、だけどズキリと痛みを伴うなにかが私の胸を貫いた。
ああ、そうか。
「何話してるのー?」
私と新倉で会話しておくから、適当なタイミングで入ってきなよ。私の指示通りに友人がやってくる。
私は、彼女にうつされた。
恋を。
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