はしかのようなもの

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 考えてみれば当たり前のことだった。彼女の恋フィルターを経て私は新倉を見ているのだ。好きにならないわけがない。  そしてうつされた風邪が、元の保菌者よりも具合が悪くなることがある。  それと一緒だ。  重篤化した感染した想いは、私をさらに先へと駆り立てた。  私は他人を使ってしか動けない彼女とは違う。  新倉と直接会話しているのは、私だ。  アドバンテージは私にある。  彼女の話をするフリをして、新倉にアプローチする。  彼女は気づいているだろうか。私と新倉の間の空気が変わり始めてること。  私の恋は彼女のものより重症だ。  はやく、治療が必要なのだ。  だから、仕方ない。
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