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帰り道、偶然を装って一緒になる。
ちょうど分かれ道のところで、立ったままお喋り。
何度か繰り返したことだ。
でも、これももう終わり。
「新倉くん」
なんとなく良い雰囲気になったところで、名前を呼んで、沈黙。
彼はすこぅし眩しそうに目を細め、
「あのさ」
こぼれ落ちる、告白の言葉。
「俺、お前のこと、好きだよ」
裏切った? そう言われるかもしれないな、とは思った。
あの上位グループにはもう居られないだろう。私の地位は落ちる。
でも傲慢な彼女にうんざりしている人も大勢いる。その中では私はヒーローになるだろう。
それに、彼が手に入るなら学校での地位なんてどうでもいい。
感染してしまったのだから、仕方がない。うつしてきたのは、彼女の方だ。私は被害者だ。
発生源は彼女かもしれない。だけど、その想いは私の中で根付いてしまっている。
「私も」
微笑んで、私は答えた。
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