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いつかのように無言の車内も、居心地が良かった。パーティでアルコールを摂っていた涼一郎に代わり、柾木が運転していたから、いつもとは勝手が違ったけれど。
「……あんまり見ないでください」
「なんで? 隣に青悟さんが居たら、そりゃ見るでしょ」
たまには助手席もいいもんだねと、涼一郎はご機嫌である。その上さわさわと柾木の太腿に手を伸ばし、怪しげな動きを繰り返している。
「……社長。セクハラです」
「違うでしょ! 恋人同士のスキンシップだから!」
運転に集中出来ないからと訴えると、意外にもすんなりと引き下がった。
「わかっていただけて嬉しいです」
「だって後から好きなだけ触れるし? あの家入った瞬間から恋人だからね。セクハラなんて言わせないよ」
そうだ。あの家に入れば、もう何を気遣う必要もない。在るのは自分たちふたりだけだ。
「言いませんよ。……涼一郎さんも、言わないでくださいね」
「うっ……。その流し目は駄目でしょ。何なの、どうしちゃったの青悟さん。これが大人の余裕か! ……俺だって大人の男なのに、なんか負けてるし」
ブツブツと膨れっ面を見せる涼一郎が可愛くてならない。どちらもいい大人で、可愛らしい容姿でもないけれど。
「……余裕なんて、ありませんよ」
きっと軽口を叩いている涼一郎の方が、よっぽど余裕があるのだと思う。
早く帰りたい。ふたりだけの、あの部屋に。
*今年最後のご挨拶*
拙作にお付き合いくださっている皆様、いつもありがとうございます!
更新が出来ない日にも覗いて下さったり、久しぶりの更新にもお付き合いくださったりと、感謝の言葉が足りないくらいたくさんのあたたかさに励まされた一年でした。
本当に本当にありがとうございました。
ようやくこのふたりのお話も、終わりを迎えることが出来そうです。続きは新年になりますが、引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです(^ ^)
それでは、皆さまどうぞ良いお年をお迎えください((o(´∀`)o))
今年一年分の感謝の気持ちを込めて。
2017.12.31
紫。
*こちらはそのうち削除致します(^ ^)
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