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誰かがあくびをすると他の人があくびをする。
「あくびがうつったね」と笑ってすませる風景はよくある。
そのあくびがあくびレディの仕業とは知らずに…
今日もあくびレディは高層ビルの屋上から町並みを眺めていた。
金髪でピンクとブラックとシルバーのストライプ模様のレオタード、そして腰に何の毛で出来ているのかわからない銀色のモフモフした布を巻いている姿は誰にも見えない。
痩せた体ながら胸から腰のラインは艶がありそのままシャープな太ももへ繋がっている。
美しい水色の瞳が動いた。
「見つけたわ」
彼女は呟いた。目の周りに紫の仮面が現われた。
「20代女、あくび5分前」
彼女は手を広げてビルから飛び降りた。ものすごいスピードで頭から落ちていったがビルの壁をタンと蹴ると水平に跳ね飛んだ。
そして真向かいのビルの窓枠を掴んだ。
「見つけたわ。子猫ちゃん」
彼女が覗いた先では制服姿のOL達が給湯室で談笑していた。
「そうそう、それで彼氏の家に泊まって今日はそのまま出勤なのよ」
「楽しめたからいいじゃない」
「いや、それがね…フ、フワ~ッ」
小柄な女があくびした。
「そのあくび頂くわ!」
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