1. 帰り道

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 駅前のコンビニでビールとつまみを購入し、薄暗い夜道を歩いた。昼間にはなんの変哲もない車止めのポールが、夜になると小柄な人間のように見えるから不思議だ。  角を曲がりアパートの階段を上る。何度も上っている階段だが、上るたびに段差が急になっているように感じるのは加齢のせいだろうか。  郵便受けに入っている封筒を取り出し、玄関のドアを開けた。「ただいま」と心の中でつぶやき、部屋の明かりをつけた。  シャワーからあがり、バスタオルで髪を拭きながら缶ビールを開ける。仕事のあとのささやかな至福の時間は、テレビから流れてくるものものしいアナウンサーの声で壊された。 「情報によりますと、明日券が発行されていない人々が多数いる模様です!」
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