魔法の家

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「か、かまくらは魔法の家だから。」 「魔法?」 「人と人を繋げる、魔法の家なんだ。」 少年の言葉にガキどもは揃って首を傾げたが、俺の脳裏にはやけに鮮明にあいつの姿が現れる。 『雪が積もった時にだけ使える魔法なんだ。』 うつむいて全くこっちを見ない彼と初めて視線があった時が鮮明に蘇る。 「なんで、そんな魔法使いたいの?」 気づいたら聴いていた。あの時は聞けなかったその言葉を。少年はしばらく目線を彷徨わせたあと、ぽつりぽつりと話し始めた。 「僕は、話すのがすごく苦手で。僕が言おうとすると話は終わってて、つまらないから。嫌なんだみんな。でも、それはしょうがないんだ。だって僕がちゃんと喋れないから。でも、でも僕も、みんなと。でも、が、頑張ってみたけど僕。だから、だから」 下を向いて拙い言葉で一生懸命に自分のことを喋っていた少年はふっと俺達を真っ直ぐに見据えた。 「作りたいんだ。人と人を繋げる魔法の家。」 ああ。あの時の彼もこんな気持ちだったんだろうか。あの寒い雪の中一人でザックザックと雪を積み上げていた彼も。 「なんかよくわっかんねーけど、とにかく!!かまくらが作りたいんだな?」     
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