幸せとは

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幸せとは

訳もなく 理由もなく ただ何となく無性に走りたくなった どこへ行くのか どこまで行くのか 何故行くのか そんなものは私にもさっぱりわからない 目的はあやふやで ゴールなんてない それでも走りだした それでも理由を聴くのならば私はこう答えるだろう 「ただ走りたいのだ」と 理由なんてそんなもので良いのだと私は思う 複雑な想いや気持ちなんて形のないものに それっぽく適当に安っぽいものにするのは良くないだろう 言葉に出来ることなんてたかが知れているのだから 走って  走って  息が切れる 呼吸は乱れ 体が痛み始める けれど、なぜだか、全然嫌じゃない 清々しくて  嫌なもの モヤモヤしたものが体から抜け落ちていくような感覚だ いや、そうじゃない これはヤツらを私が振り払っているのだ 私を苦しめ悩ませ 散々憑き纏っていたヤツらを 私が撒いているのだ 私の力で 実力で 「あっはっはっはっ!ざまぁみろ!!」 何だかとっても愉快な気持ちになって 私は大声で叫んでやった 腹の底からおかしくて笑いが止まらない 笑えば笑うほどヤツらが消えてゆくようで とても気分が良い ひとしきり笑って 大笑いして 体も限界に達してとうとうバタリと 私の体は倒れた 息は苦しい 体はあちこち痛い 疲れた けれど そんな事はどうでも良いと思えるほどに 私の中は充実感で満たされていた
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