戯言

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 この話に付いている小洒落た題や、今までの話からして、私の趣味が「小説を書く」ことだというのは、貴方も薄々気づいていらっしゃったことと思います。  多くの方は、「小説を書く」ことと「小説を読むこと」は別物だと考えるかもしれませんが、私はこの二つは一つのもののように繋がっていると思っています。  貴方は絵を描いたりしますか?絵を描くというのは、まず絵を描く素材を選ぶことから始まります。いわばキャンパス選びです。そして、そのキャンパスに自分の描きたいものを描きたい素材で描いてきます。  「小説を書くこと」と「小説を読む」ことは、それと同じことだと思います。  小説を書く人は、絵描きでいうキャンパスを作る人です。そして、読む人は絵描きでいうキャンパスに絵を描く人です。キャンパスは描く人によって様々な姿に変わりますが、その前から小説を書いた人の独特な雰囲気があります。そこに何を描くかは読み人によって変わります。  キャンパスを作り、そのキャンパスに読む人が絵を描く。その一通りの流れを行って初めて、私は絵を描くと言うことだと思います。それを本を読むことと重ねてみるということなのです。  小説を書く人は、書き上げて終わりではなく、それを読む人が何かを感じて初めて一つの行いの終わりになるのだと私は思うのです。
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