いち!

3/10
前へ
/10ページ
次へ
「・・・・・コレが?」 何がそんなに恐ろしいのか全くわからない彼は首をかしげる。 「解らないのか。コレはな・・・・・・・・・・『りんち』だ。」 「・・・はぁ。」 「人間共は魔王1人に対して5人とか6人とかでボコボコにするのだ。しかもコッチが反撃して死にそうになると回復をしてしまうし、『れべる』稼ぐとか言って何もしてない魔物たちに突然襲い掛かるのだ!!コレだけで人間の凶暴性がわかるだろう?」 唖然としている彼を気にせず魔王は話し続ける。 「しかも最悪なのはコレだ!コイツら、弱かったクセに途中から突然強くなるのだ。コレはアレだぞ。希望を抱かせておいて、上げて落とすってやつだ。コイツらはな魔王の事を弄んでいる悪魔みたいなやつなんだ。」 話しながら、ガクガクブルブルと震える魔王に彼は何度目か解らないため息をついた。 と、同時に扉が激しく鳴る音と嬉々とした声が響く。 「お喜び下さい魔王様!!!ついに勇者が現れましたぞ!!」 家臣の嬉しそうな声とは裏腹に、魔王の顔からサーーッと血の気が引いたのが彼には解った。 それでも止まらない家臣の報告に魔王は顔を強ばらせる。     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加