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ハァ。と大きなため息をつき、ベットの上で丸まってガタガタと震えている塊に声をかける。
「殺して、しまった。」
「はい?」
普段とは違うか細い声に彼はもう一度聞き返す。
「勇者とは、人々の希望だ。それを殺したのだぞ?ふ、復習されるかもしれん。しかも、人間には『のろい』という文化があるのだ。一度幽体になった勇者の怨念がわ、我に憑いたかもしれん!!!」
ガタガタとなおも大きな体を震わせ、恐怖に叫ぶ魔王に彼は呆れたように
「たとえそうだとしても、魔王様ほどお力があればなんとでもなるでしょうに。」
と言い放つが、魔王は
「お前はなにもわかっていない!追い詰められた時のアイツらは異常だ!!!」
と更にベッドに潜り込んでしまった。
「なにもわかっていないのは、貴方です。魔王様。・・・・・ご自身の力の異常さを。」
と呟き、彼は部屋を後にした。
(あの感じでは、またしばらくお部屋からお出にならないな。)
魔王は常に見えない脅威に怯え自室にこもり。
家臣たちはそんな事も知らずにセッセと悪事に勤しみ。
人間たちはそんな魔王を倒すべく一致団結して助け合い生きている。
「あぁ。今日も平和だ。」
彼は青く澄んだ空を見上げ、ため息をついた。
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