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幸せもの
僕は幸せ者だ
美味しいご飯が食べれて楽しい友達がいて優しい両親がいて
なに不自由なく幸せに暮らしている
だけどいつからだろう?
何だか体の奥が変なんだ
小さな小さなしこりができて、何をしてても引っかかる
何だか解らない不快なものが外から僕へと流れ込む
ぐずぐず、ぐずぐず、溜まっていく
気持ち悪く、苛立たしく、不愉快なものを
吐き出したくて堪らない
だけど、僕は気付いたんだ
これはけして外には出してはいけないモノだと
ふとした拍子に外に出ようとするソレ等を僕は当たり前のように押さえ付けた
『こんな良く解らないものに振り回されるなんてまっぴらだ』
そうして僕は今日も幸せな日々を繰り返す
今日も今日とて僕は幸せ者だ
学校にいけば沢山の友達が僕を囲んで笑い合う
馬鹿なことして笑い合い
真面目に勉強もして、帰りには寄り道して、
何時も通りの日々
家に帰ればお帰りなさいと優しい母が迎え入れる
僕が今日あった事を話すと、母も嬉しそうに微笑んだ
毎日順調で怖いくらいに平和な日々だ
だけど、その中で
日々少しずつ少しずつ何かを吸収して膨らむ僕の中のそれは
自分で押さえつけているのが苦しい程大きく育った
ぐるぐるぐるぐる体の中を駆け巡り
外に出せと暴れ狂う
僕は必死に身体を掻き抱き、目を見開き、心の中で強く繰り返す
『負けない、負けない、僕の思考は僕のものだ。』
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