幸せもの

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あんな小さなしこりから今ではすっかり膨張し続けたそれは破れた穴からすごい勢いで飛び出していく 飛び出たソレは外に出てなお、何かをすごい勢いで吸収して膨張し続けた 父と母はあっという間にソレに飲まれて 無くなった 勢いは止まらずにソレは外へと飛び出した 進んでいく先に沢山の友達が見える ソレはその全てを飲み込んでいきどんどん進んで行く 呑み込めば飲み込むほど大きくなり勢いを増していくそれはまるで火砕流のようだとぼんやりと思った 勢いを増して増して流れていき、そして激しい光と甲高い音と激しい横からの衝撃を受けてそれはやっと流れを止めた 父と母が飲み込まれ 友達も先生も知らない人もたくさん飲み込まれて無くなった だけどなんだかとても気分が良くて かすみゆく意識の中で自然と笑いが溢れた こんな事は初めてだ 最後にこんな気持ちで笑えるなんて あぁ、僕はやっぱり幸せ者だ __________________ _________________ ________________ ______________ この間の無差別殺人の犯人、最後はトラックに引かれて死んだんだって? ああ、聞いたよ。死因は引かれたことだけど体中凄い怪我してたんだろう?なんで動けてたのか分からないって。 強い怨み辛みかねぇ。何でも家では虐待、学校でも随分ないじめに合っていたらしいじゃないか。 その現場に居合わせた吉川さん家の次男は気が狂っちまったってさ。 最後は心臓が止まるその時まで笑って居たんだろう。気味が悪いね。本当に恐ろしい。
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