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透
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視界に広がる赤と胸焼けするほどの錆びた鉄の臭い。
自分の体にまとわりつく飛び散った液体。
急激に冷めていく、僕の頭とそれの温度。
これは、僕の罪の記憶だ。
「ーーーっっ!!」
声にならない悲鳴を飲み込んで飛び起きた。
体にまとわりつく汗が気持ち悪い。
「最悪の目覚めだ。」
呟きながら頬を叩いて気を引き締め、身支度を整える。
部屋を出ると、道場の方から元気な声が聞こえた。
「遅い。今何時だと思ってるの?」
しばし道場の方を見ていた僕にとげのある声と木刀が飛んできた。
間一髪、それを避けて投げた張本人に冷めた目を向ける。
「明希、木刀は投げて使うんじゃないよ。」
「じゃあ、透が使い方教えてよ。天才なんでしょ?昔よく自慢してたじゃない。」
痛いところを突かれ顔が歪んだ。
「天才じゃないよ。・・・言っただろう?僕は刀を持てない人間だ。」
吐き捨てるようにそう言うと、明希はむくれながら言う。
「道場はどうするの?」
何度も何度も問いかけられたその問いに、何度も繰り返し言った答えを言う。
「兄さんがいるだろ。」
そう吐き捨てて、明希がごちゃごちゃ言う前に退散する。
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