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 黙ってボクを見つめていた少女が、驚愕したように目を丸くした。  「まさか、あんたあたしのこと気付いてないのか・・・・・・?!」  「気付いてます」  ようやく返事が出来そうな少女の言葉に、思わずボクは返答していた。  少女は据わった目付きでボクを睨みつけた。  「いーや、気付いてない」  「気付いてます。ボクの目の前には左腕と右足に大怪我を負った、ぼろぼろの髪の女の子が横たわってます」  「勝手に人のこと分析すんな」  言い返すと、少女は「絶対気付いてない・・・・・・」と呟いた。  心外だ。ボクは確かに彼女の姿を認識している。  じっとボクのことを睨みつけていた少女は、おもむろに口を開いた。  「・・・・・・ここに居させろ」  「は?」  思わず聞き返すと、今度ははっきりとした返事が返ってきた。  「ここに居させろ。しばらく休息を取っていれば、また腕も足も髪も生えてくる」  予想外の要求に、「あ、はい」と半ば少女の圧力に押されたようにボクは言った。  すると、少女はふっと笑った。  ボクが目を瞠った瞬間、すうっと視界が翳った。  覚えのあるこの感覚は、眠りの波が訪れた合図だ。  「それじゃあ、しばらく厄介になるぜ」  少女の笑いを含んだ声が聞こえた時には、意識は眠りの波にさらわれていた。
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