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「今日はどうだった」
エンジニアの中原が声をかけてきた。
「ずっと掘ってたよ。ダイヤでも出てきたら良いんだけどな」
「そうしたら俺達は大儲けできるな」
「あれば、な。ないよなあ、こんな星には」
俺逹は揃って窓の外へ目を遣った。
この星の地表に降り立った時、俺達は暫し言葉を失った。見渡す限り真っ白なその大地には、その真珠のような白さだけでも俺達の度肝を抜くには十分だったのだが、歪に伸び、曲がりくねった柱のようなものが林立していたのだ。それは疎らな場所もあれば、一箇所にびっしりとそびえ立っている場所もあり、何というか、背筋を這い上がるような気持ち悪さがあった。
まずは無人機が、次に船員が調査を行い、この星の大気や地面が、そしてその柱が有害でないことを確かめると、ようやく外を自由に出歩けるようになった。とはいえ奇妙な気味の悪さは拭い去れず、進んであの柱に近付こうとする者はいなかった。
「それが分析の川上に聞いた話なんだけどよ、あの柱、かなりの量の炭素を含んでるらしい」
「炭素? 鉛筆の芯とかの……」
「まあそれも炭素だが、ダイヤも炭素だろ。あの柱を、それともこの星を割ってみたらダイヤの塊だったりするかもしれないぞ」
「まさか」
俺は笑い飛ばした。この惑星がまるごとダイヤだったりしたら、宝石としての価値は大暴落するに違いない。それでは本末転倒だ。
「俺が掘ってきたやつの分析結果とか、どんな感じなんだろうな……ん?」
ぽーん、と若干のノイズを含んだチャイムが鳴り、船長の声が響き渡った。
『総員、ミーティングルームに集合するように』
横を見ると、中原もぽかんと口を開けて天井を見上げている。
「何だ?」
「さあ」
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