内線鳴らします

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 翌朝。  プルルルルっ、プルルルルっ。  ホワイトボードに客先名を書いていると、背中で内線が鳴った。 「はぁい、小林っス。……ああ、杉山さんスか。お待ちください。杉山さぁん! 内線です」 「もう出たって言ってくれ、帰って来たら掛け直すから」  今日は朝一でI川商店で打ち合わせがある。小林は馬鹿正直な伝書鳩となった。 「はーい。了解っス。杉山さん、もう出ちゃうそうです。後から掛け直してもらいま……って、うわ! 感じ悪りぃ」 「どした?」  小林は受話器を置き「ガチャ切りされました」と耳を押さえる。 「お前の応対が悪かったんじゃねぇの」 「そうっスか? 俺、杉山さんの言う通りに伝えただけっスよ」 「それが駄目なんだろ。……じゃあ、行ってきます!」  行ってらっしゃいという言葉を受け、部屋を後にした。
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