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「気になるなら後でも付けたらどうだ? 誰も止めはしないぞ?」
そう言っていやににやつく店主に男は大きな溜息を漏らし、目を伏せた。
「俺もそこまで暇じゃねぇ」
「相変わらず冷たいな。同胞のガキが死ぬかも知れないのに」
店主のその愉快げな声に男は苛立ちつつ、伏せた目を上げ、再び店主を見据え見た。
血色のおぞましい、美しい瞳と視線が合わさる・・・。
「・・・なら、お前が行け。お前は暇だろうが」
男のその言葉に店主は噴き出した。
「俺は妖だ。人間じゃあない。・・・例え人間でも面倒なことは御免だ。ガキ一人がどうなろうと俺の知ったことじゃないしな」
相変わらずだな。
男はその言葉を飲み込み、傍らに置いた愛刀に目を止めた。
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