第1章

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あれだけ毎日一緒にいた人と、もう会うことができない。頭では理解してるのに、感覚が追い付かない。  それは、何日経っても、何ヶ月経っても変わらなかった。本当にもういないの?そう問いかけるほどに、五感が麻痺していくように思えた。 カーテンを開いたその向こうには、星が瞬く。亡くなった人は夜の星になってみんなを見守っているんだよなんて言うけれど、私にはあの夜空のどこかに彼がいるなんて信じられなかった。 「本当に会えないの……?」 桜の下。あなたの笑顔。ゲームセンター。遠い国のお伽噺。すべてが昨日のことのように思い出される。  あれ、おかしいな。先輩のことは、過去になろうとしていたはずなのに――。 「すごく、先輩に会いたいよ………」 私はこの夜、先輩が亡くなってから初めて涙を流した。 *****  気がつくと視界には天井があった。あれから何があったか思い出せない。窓は無意識に閉めたらしい。そもそも、ベッドにいることも無意識なのだ。そのくせ掛け布団はかけておらず、その上に寝ていた。まるで酔っ払いみたいだ。 「菜摘ー、ごはんよー?」 階下で母が呼ぶ声がする。時刻は6時50分。目覚まし時計はかけてなかったらしいが、学校へ行く支度をするには十分取り戻せる時刻。 私は急いで制服に着替えて、1階に降りた。洗面台で見た顔は、目が腫れていた。少しだけ、化粧していこうか…本当は禁止だけれど。 朝食をかきこんで、また自室へ向かう。そうだ、何が学校へ行く支度をするには十分取り戻せる時刻だ……課題をしていないじゃないか。机の上のスマートフォンを手に取る。時刻は7時40分。誰かに課題を写させてもらうよう、お願いしておこう。  その時、視界の端で何かが光った。スクールバッグを少しだけ手前に引き寄せてみる。そこには、先輩がUFOキャッチャーで取ってくれたくまのぬいぐるみがあった。目が太陽に反射でもしたのだろうか?
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