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あの後、香奈と別れ1人自宅へ帰りベッドに横たわる。
霧島の頭の中は彼女でいっぱいになっていた。
何をするにも一緒だったなぁ。
何て昔を思い出していた。
初めて会った時は覚えていない。
むしろ、初めからずっと一緒にいたのではないだろうかと思う程に。
そういえば親から聞いたことがあったな。
俺の家と香奈の家は隣同士で生まれる前から近所付き合いがあったという。
そして俺が産まれて、半年後に香奈が産まれた。
そこから以前よりも仲良くなって。
俺と香奈は兄妹のように育ったんだと。
幼稚園の頃の記憶はあまりないが、毎日のように一緒に遊んでいたという事だけはわかる。
そして小学校に入り互いに男友達、女友達と遊ぶようになった。
それでも登下校はいつも一緒だし、暇があれば2人で遊んだ。
そんな懐かしくて平和で楽しかった日々を思い出しては涙を流した。
どうして、3年間もいじめられなくちゃいけなかったんだ。
どうして、俺は逃げなかったんだ。
俺には、逃げる道があったじゃないか。
香奈の所へ、どうして、逃げなかったんだ。
今更ながらそんな事を思う。
その答えも、わかってはいた。
香奈ならきっと俺を慰めてくれる、また一緒にいてくれる。
でも、いじめられて、ただ逃げてきた惨めな自分を香奈に見せたくなかっただけだ。
ただの、強がり。
だけど、中学生の霧島には、いじめから逃げない為の十分な理由になった。
そんな風に過去を振り返っていた霧島だが、ふと、頭に声が響いたような気がした。
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