第4章「小さな約束」

3/4
前へ
/40ページ
次へ
「れんくん、約束だよ?」 「うん!約束!」 『ゆーびきーりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます、ゆーびきった!』 そして2人が笑あっている。 何だ、この記憶は。 俺は、いったい誰とどんな約束をした? とても大切な約束、それだけは何故かわかった。 けれど、それ以外は何も思い出せない じっとしていられず寝返りをうった霧島だが、案の定ベッドから落ちてしまった。 俺は何をやってんだと思いながら痛む体を起こす。 そして、その視線の先にある机の引き出し。 いつもは気にならないが、何故か今日に限って凄く気になってしまう。 小学校の時から開けていない。 開けたら今すぐにでも逃げ出してしまいそうで、怖くて開けなかった中学校時代。 今なら、開けても、大丈夫だよな? 誰に問うこともなく引き出しに手をかける。 そんな、引き出しを開けるだけなのに何でこんな緊張してんだ。 これは、ただの引き出しじゃないか。 自分にそう言い聞かせて引き出しを開けた。 するとそこには、1枚の写真と、ビーズで出来た指輪があった。 そして、さっきよりも鮮明に頭に声が響く。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加