第2章「出会い」

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霧島には友達と呼べる存在はいないに等しい。 彼は小学校を卒業したと同時に引っ越した。 新しい街に来て中学生になって、また友達を作ればいいと思っていた。 だが、中学校では、いじめにあった。 その中学校は地元の小学校の生徒が入れ替わる事がなくそのまま中学校に入学する。 そして、新しく入ってきた霧島が、いじめのターゲットになった。 それでも霧島は3年間いじめに耐えた。 そして進学先は近所の高校ではなく、東京都にある有名な私立高校へと入学した。 それでも、高校に入っても自ら話しかけることもなく、ただ1人で過ごしていた。 つまり、この新学期においての最初のイベント…クラス替えの発表で盛り上がる事もなく、自分のクラスを見てさっさと教室へ向かう。 早速、自分の席に着いて読書を始めようとして、彼は驚いて声を上げた。 「…えっ……うそ、だろ」 教室の端っこで女子3人が楽しそうに話している。 それは新学期にしても去年から一緒の仲良しグループならあり得る話だ。 彼が驚いたのはそこじゃない。 その中に、見知った顔があった。 生まれた時から兄妹のように育ってきた幼馴染が、確かに、そこにいた。
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