1人が本棚に入れています
本棚に追加
「待ってたよ、蓮くん。久しぶりだね」
香奈は俺が教室に戻ってくることがわかってたのか?
そんな事を考えながら彼は子供の頃を懐かしむ様に答える。
「本当に久しぶりだ。小学校以来か?」
「そうだね。蓮くん、引越してから連絡してくれなかったし…」
「あー、それは、まぁ、ごめん。そ、それよりさ、ケータイここら辺に置いてなかった?」
「それって、これの事かな?」
そう言って彼女は制服の内ポケットからケータイを取り出した。
なるほど、俺が教室に戻ってくるのがわかってたのはそういう事か。
もやもやが無くなりスッキリした様子で答える。
「あ、そう、それそれ。持っててくれたのか。ありがとな」
言いながら手を伸ばした。
次の瞬間、彼の手にはケータイではなく、彼女のあたたかい温もりがあった。
最初のコメントを投稿しよう!