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後日、3人は葵の友人に話を聞きに行くことになった。
当の先輩の家は葬儀の準備で忙しく、またほぼ無関係の自分達が訪ねるのは憚られた。
「部活ってのは、同じ」
「うん、テニス部の先輩。結構女子から人気あって…」
聞き役に徹する孝則を尻目に、兵馬は小さくため息を吐く。
気の毒だとは思うが、死んだ他人の過去なんて興味ない。
孝則にまで害が及ぶ前に話が聞きたい。
早くしろ、の言葉を飲み込んで、話が進むのを待った。
「その先輩の行動、分かる範囲でいいから、教えてくれないかな?」
「うん…」
先輩の行動に特異な点は無かった。
部活に精を出しつつ、遊びも手を抜かない、普通の高校生の生活。
ただ、目を引く点が一つあった。
「窓?」
「うん、隅の方が割れてた」
先輩の自室の窓の一つの隅が割れていた。
丁度レンガブロックを投げ込んだように、小さな穴が開いていたのだ。
本人は指定されるまで、気が付かなかったらしい。
「あと、ベッドの周りが汚れてて」
母親が語るところによると、先輩のベッドの周囲が黒く汚れていたらしい。
さわると油のように粘着き、掃除に随分手間取ったそうだ。
「原因って、わかる?」
「ンなわけないじゃん!知ってたら言うでしょ…。ま、気づかなかったのは変だけど」
友人と別れ、3人は顔を寄せる。
「どう思う?」
「どうもなにも、和久井の家に行こう!もし開いてたら…」
「ちょっと前進したな」
和久井の家に押し掛け、挨拶もそこそこに自室に突入。
3人の背中に、和久井が文句をぶつけてくるが、そちらに意識は向かない。
――穴はあった。
本人に指摘すると、驚いたように目を瞠った。
やや大げさな動作だが、隠していたようには見えない。
相変わらず死人のように病んだ容姿だが、先日訪ねた時から目立った変化はない。
「これ、いつ開けたんだよ」
「知らない。後で直しておくわ。教えてくれてありがと」
さらに注意深く見て回ったが、黒い汚れは見当たらない。
兵馬はこれも訊ねてみたが、芳しい返答は期待していなかった。
3人は軽く雑談してから、和久井家を出た。
「結局、原因不明かー。なんで穴、開いたのかな?」
「ひょっとしたら、ネズミかも」
「あの、動画に出た奴か」
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