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感情に任せて、蹴ってしまった葵は航海していた。
(どうしよう…。何も考えずにやってしまった。)
謝ろうと口を開いた瞬間、耳をつんざくような悲鳴が辺りを包んだ。
「キャーッ。」
突然叫んだ遥に驚き、どうしようかと悩んでいると、校舎から、教師五人が走ってきた。
「何があったんだ。」
経緯を伝えようとすると、葵の担任もいて、その隣には遥がいた。
「桜井泣いているのか?どうしたんだ。」
「実は、突然柳川さんに呼び出されて…。」
「柳川っ!?保健室じゃなかったのか。」
この状況は葵に分が悪すぎる。何とか真実を伝えようとするも、遥に阻まれた。
「私好きな人がいるんですけど、告白したら何故か柳川さんに恨まれて…。さっきも腕を蹴られたんです。」
そう言うと、青黒くなった痣を見せる。
青ざめた教師達は保健室に連れていこうとした。
今まで遥に向けていた穏やかな笑顔は、葵と目が合う頃には般若のようになっていた。
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