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『俊介』という言葉を聞いた瞬間、葵はガタンッと音をたてて立ち上がった。
「俊介は?俊介はどこ?」
「確かに。今日は生徒会も無いし… 。あ、さっき桜井さんと話してた。」
「桜井っ!?」
今にも走り出そうとする葵を奏が止めた。
「職員室。呼ばれてんじゃねえのか?」
「あっ…。」
葵は、嫌なことを思い出した。とでもいうように、暗ーい顔をした。
重い足取りで職員室に向かうと、教師達が憤怒の表情で集まっていた。
「失礼します。」
「ああ柳川か。ここに座れ。」
「はい。」
座れと言われたものの、ほとんどの教師は立っている。
威圧感が凄すぎて椅子に座るのも一苦労だった。
「何で桜井に手を出した?」
「違います!私を呼び出したのは桜井さんです。」
数十分話したが、話は進まず、今日は帰っていいと言われた。
「話したく無いのはよく分かった。だが人に罪を擦り付けるのはどうかと思うぞ。」
「すみません。失礼します。」
職員室から出た葵は、もう皆帰っているだろうと自転車置き場に向かった。しかし、予想に反して奏と光希が待っていた。
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