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「遅かったね。待ちくたびれたよ。」
「お疲れ。どうせ桜井が被害者になってんだろ?」
「うん。俊介は?」
「それがどうも先に帰ったらしいんだよね。」
葵は落胆した。もしかしたら、俊介は信じてくれるかも知れない、と思っていたのが馬鹿馬鹿しくなってきた。
「きっと何か用事があったんだよ。さ、一緒に帰ろ?」
他愛もない話をしながら家へ帰る途中、俊介らしき人影が見えた。
急いで自転車をこぎ、俊介のところに向かった。
「俊介?ごめん、遅かったから先に帰ったんだよね?」
「…に…かけるな。」
「何て言ったの?」
「僕に話しかけるな。」
今まで明るかった葵の表情がどんどん暗くなっていく。
心配した奏と光希は彼女にかけよった。
「俊介!葵に何てことを…。」
「遥から聞いたよ。僕と遥が仲良くするのが嫌で、嫌がらせしてたんだろう?今日は呼び出して蹴ったんだってな。」
「違っ…。」
「見損なったよ。もう僕に話しかけないでくれ。」
その言葉を聞き、我慢できなくなった葵は一人で帰ってしまった。
「あっ、おい!葵!」
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