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俊介の声に耐えられず、思わず逃げ出してしまった葵は、家に着いて後悔した。
(もっと、話しておけば…)
小学生の時からつけている日記を開き、俊介のことが書いてあるページを読む。読み進めているうち、また涙が溢れてきた。
「俊介ぇ。私…」
ずっと部屋に閉じ籠っていると、いつの間にか時計の短針は七時を指していて、顔をあげると窓からはきらきらと輝く夜空が見えた。
置いてあったサンダルを履き、ベランダに出る。
葵の頭上の満天の星に感嘆の声をあげた。
「綺麗…。」
「ふふっ。そうでしょ?」
「お母さんっ…いつの間に?」
気付けば隣のベランダに母親がいたことに彼女は驚いた。
「私も高校生の頃はね。何で上手くいかないのー!ってイライラしてたのよ?」
「お母さんも?」
「でもね。葵のお父さん、隆史さんが、『この大きな空からしたら僕らなんかちっぽけなものさ。』ってカッコつけて。その時思ったの。本当だなぁ、って。」
いつも喧嘩している両親にそんな思い出があったこともびっくりしたが、まさか学生の頃からの付き合いだとは知らず驚いた。
「悩んでる時はね。流れ星を探すの。」
「あの三回唱えるやつ?でもそんなの子供だましだよ。」
「願うんじゃないわ。星に誓うの。私は絶対に頑張ってみせます!ってね。」
「星に誓う…。」
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